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Age of Sail
Age of Sail乗組員 / 褒章 / ネルソンの勲章
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ネルソンの勲章 anchor.png

 今から200年前のネルソンの時代、王国海軍軍人、英国陸軍軍人ともに現在に見る軍人のように普段の略装でも、勲章、メダル(記章)を常に身に付けるというようなことはまれでした。

F2160-5.jpg

 8/19のCaptain's Logにも書きましたように、勲章は単なるメダル(記章)とは異なりその人がどの勲爵士団(騎士団)のメンバーであるかを示すものです。当時イングランドにはガーター勲爵士団とバース勲爵士団しかなく、ガーター勲爵士団は王族を除き、高位の貴族24名に限られていたため、類まれなる戦功を挙げればバース勲爵士団のメンバーに選ばれ、バース勲爵士となることは、貴族に列せられる次に誉れ高きことでした。  ところが本物の勲章は金銀、ダイヤモンドなどの宝石で飾られた非常に高価なもの、しかも死後返却(貴族とは異なり一代限り)しないといけない。しかし人間、誉れ高き勲章を常に身に着けたいものですね。そこで、王室の許可の下、レプリカを作り特別な場合を除き正装の場合などではこれを用いました。
 しかしネルソン提督とはよほど自己顕示欲の強い人だったようで、正装のときは全ての4個の勲章、2個の海軍公式戦勝記念ゴールドメダルのほかにも色々な贈り物を身につけていました。有名なチェレンク(宝石出来た帽子飾り)もその一例です。そして略装の時もこの勲章、記章を身に付けていたのです。略装用の勲章は刺繍で作られたものですが、金糸、銀糸などを使いきらびやかなものだったようです。そして、ネルソン提督は正装のときはともかく、略装のときもそのような状態でしたので、そのような習慣の薄い時代ですから、ネルソンは周りの人間からやや奇異の目で見られたようです
 そしてトラファルガー海戦時も着古した略称に、4個の刺繍された勲章を付けていました。そしてその略装に飾られた勲章を目印に提督と見分けられ狙い撃ちされたという話も現代に伝わっています。が、最近の研究では疑わしいとされています。
 現在、その略装は通称「トラファルガー・コート」として知られ、英国National Maritime Museun(NMM)に収蔵されています。

NMM収蔵のトラファルガー・コートです。左胸に4個の刺繍勲章が縫い付けられています
上段:the star of Order of the Bath(バース勲章)
中段右:the Order of the Cresent(トルコの三日月勲章)
中段左:the Order of St Ferdinand and of Merit(ナポリ王国のセント・フェルディナンド勲章)
下段:the German Oder of St Joachim(ドイツのセント・ヨアキム勲章)

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the star of Order of the Bath(バース勲章) anchor.png

OrderOfTheBath.jpg 

上に書きましたように、当時の英国ドでは一般軍人にとって貴族に列せられる次に最高の栄誉の証です。
 この勲章はセント・ヴィンセント岬沖海戦でのネルソンの勲功に対し与えられたもので、軍人と言えども海軍大佐、海軍提督でも授与されることはまれだったので、ネルソン提督にとって一番重要な勲章でした。
 当時は現在と異なりバース勲位は軍人にのみ与えられ、階級も一階級しかありませんでした。したがってデザインが現在見るものと異なっています。
 参考:Order Of TheBath

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the Order of the Cresent(トルコの三日月勲章) anchor.png

OrderOfTheCrescent.jpg 

ナイルの海戦の後、トルコのスルタンがネルソンの戦功に報いるために特別に作ったものです。と、いうのは当時のトルコには、キリスト教徒に授与できる勲章がなかったのでした。

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the Order of St Ferdinand and of Merit(ナポリ王国のセント・フェルディナンド勲章) anchor.png

OrderOfTheStFerdinand.jpg 

こちらもナイルの海戦の戦功に対してナポリ王国から授与されたものです。が、しかし、当時のナポリ王国の勲章はカソリック教徒以外には授与できないきまりになっていたので、サン・フェルディナンド王により特別に作られたものです。この勲章はネルソン提督以外にナイルの海戦に参戦した各艦長にも授与されました。

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the German Oder of St Joachim(ドイツのセント・ヨアキム勲章) anchor.png

OrderOfTheStJoachim.jpg 

曲がりなりにも、国王、スルタンから授与された勲章とは異なり、これはドイツの私的な勲章です。




 こうしてみると王国海軍軍人とって真に価値のある勲章はバース勲章だけなのですが、ネルソン提督にとっては他の3個も同様だったということでしょうか。
 残念ながらこれらの本物の勲章は1900年に旧グリニッジ海軍病院のペインテッド・ホールから盗まれ、チェレンクも1951年にNMMから盗まれてしまいました。現在、NMMで見ることの出来るのはバース勲位の顎飾(金とエナメルの美しいものです)、刺繍バース勲章、セント・フェルディナンド勲章の大綬、刺繍トルコの三日月勲章、刺繍セント・ヨアキム勲章だけです。
 しかし、ロンドンのウェストミンスター寺院をもし訪れたなら、内部にあるヘンリー七世チャペルを訪れてください。そこはバース勲爵士団のチャペルでもあります。天井には現在のGCB受勲者の大紋章旗がさがり、壁には過去のバース勲爵士の大紋章がはめ込まれています。そして、係りの人に聞いてください「ロード・ネルソンの大紋章はどこですか?」と、係りの人は静かにあなたにその場所を指し示してくれるでしょう。


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最終更新: 2015-08-01 (土) 15:59:00 (JST) (3204d) by 只野四十郎
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